歯科口腔外科
歯科口腔外科へようこそ
1.当科は偶発症に迅速に対応するための、安心を与えるシステムづくりを大切にしています。
たとえばその一つが抜歯処置です。当科は総合病院の中にある歯科であり、心臓疾患など内科的に抜歯や、局所麻酔下にて歯科的処置が必要な患者さんや、抜歯の手技上、難易度の高い親知らず(智歯)の抜歯を希望される患者さんが受診される機会が少なくありません。歯を抜くことはすなわち咀嚼機能の低下をもたらし、条件が許すかぎり歯は保存しなければなりませんが、横向きにはえて、炎症を頻繁に起す親知らずや、入れ歯を作るにあたり、歯周病や虫歯が歯根まで波及している場合等は将来の口腔内の感染を予防するために抜歯が必要な場合があります。偶発症とは処置を行った後に時として起る不都合な症状のことを示します。抜歯の場合は、術後出血や術後の感染です。通常的な処置ではこのようなことが起ることは稀なのですが、やはり不運にも発生してしまうと患者さんにとってはストレスとなります。このような“もしも”の時のために、抜歯に際して、全身状態や抜歯の難易度を考慮して偶発症の発生の可能性のある患者さんには、1泊入院口腔外科手術コースを用意しています。これは手術後の投薬の配慮、食事管理など、実際の治療を集約的に行い、良好な経過に移行できるように考えられたプログラムです。平成12年度は49名の患者さんにこのコースを利用していただきました。
これも時間を節約し、リスク(危険因子)を回避して治療を提案しているスタイルの一つです。
2.当科は“良好なメインテナンス”を実現するための治療方針立案を大切にしています。
体の健康と同様、お口の健康も治療が終了した後に、その良好な状態が長く維持されることが大切です。そこで当科は皆さんの訴えに応じた治療プランを立てるのが第1ですが、歯石の沈着や、自覚症状がなくても歯周病の傾向がある方には治療と平行して、歯周病の初期治療をお勧めする場合があります。ある意味では患者さんの予想よりも、治療期間や時間がかかることがありますが、治療の終了は“その後の良好な経過を得るための条件づくり”とする当科の考えとご理解頂きたいと思います。
3.当科は診査、診断のためのプロセスを大切にしています。
治療に対しての適切な方針を決定するには現状の把握と疾患に至った経緯を大切に考えなければなりません。当院にはCT装置、MRI装置、ラジオアイソトープ検査など口腔外科領域の診査、診断に使用する設備は充実しています。当科ではケースによっては治療に先立ち、診査に時間を頂くことがあります。確実な診査が適切な治療的判断につながるとの考えのもとで業務に従事しています。このようなプロセスの当科の成果は滋賀医大歯科口腔外科との共同発表も含め、過去5年間で口腔外科関連学会に論文として21編を数えるに至りました。
4.当科は2次医療機関としての責任を大切にしています。
当科は、重度の病気を治療中で一般の歯科治療を行うにあたり、全身的な配慮が必要な患者さんや、お体に障害のある患者さんに対しても他科との連携を図りながら包括的に対応できる様に努力をしています。また、開業医の先生方から、口腔外科関連疾患や処置の依頼でご紹介をいただく患者の皆様にも対応しています。当科は総合病院の診療科として存在する責任を自覚し、開業医の先生方との連携を大切にしながら、業務に臨んでいきたいと思います。